宿題そのいち Part2
さてパート2では、実際の建築について紹介していきたいと思います。
アクロス福岡 概要
地上14階、地下4階 (最高の高さ60m)
敷地面積:13,648m2、建築面積:10,622m2 、延床面積:97,403m2
公共部分:38,629m2 (40%)、民間部分:58,774m2 (60%)、うち共用部:33,504m2
構造:鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート、鉄構造
外部仕上げ:外壁 アルミカーテンウォール、屋根 階段状屋上庭園 (ステップガーデン)
内部は、コンベンションのできる国際会議場、シンフォニーホール、円形ホール、文化発信系の施設、地下にはレストランと1階などにもすこし店舗がはいっています。また、住民にとっては、パスポートセンターがあるので、その印象も強いです。
HPのトップには、”ここは、世界の音・文化・情報が響き合うクロスロード。”という言葉とともに、シンフォニーホールの様子がスライドで流れます。
特に内部については、コンサートでもないと入れないシンフォニーホールについて紹介したいと思います。
通常時:固定席1,867席(他に車椅子席4席) 1階/1,208席 2階/384席 3階/275席
とても客席数も多く、
高さ18m 幅22m 奥行き約30mととても広いつくりになっています。ホール全体を浮き構造とすることで、外部からの振動音も遮断しています。
また、ホールの形式は反射板を動かす事で、シューボックス型からプロセニアム型・オープンステージ型に変更する事ができます。
一年生の時の建築概論で特別に見学させてもらった時の写真です。
シャンデリアは、一種の反射板として、ホールでは重要な役目を果たします。
では外部について。
南側
天神中央公園から連続するように緑の階段が配置されています。高さ60mまで13段の階段が連なっていて、建物の約4割を地下空間にすることで実際に登る事が可能になっています。
登ると途中滝もあるんです
福岡という一地方都市にありながら、世界に対して大胆な問題提起をしている、世界に先駆けて環境建築を実施した、そのような点がアクロス福岡の特徴といえるのではないでしょうか。
この緑の階段の木々は竣工当初76種類3万7000本の樹木が植樹されたそうですが、15年後の2010年には120種類5万本程度にまで増え、今も増え続けています。虫がいて、鳥が種を運び、山おろしの風さえ吹く、存在も「山」になっているといえます。
環境的な効果も実際に検証されています。アクロスと公園を含めると約3.1haもの大緑地となっていますが、表面温度は7℃も違う!また、土の断熱効果で建物内部の冷房負荷も軽減されているそうです。
(図:竹中工務店
北側
明治通りに面する北側はまったく違った表情を見せています。
明治通り側の入り口はこんな感じ。山笠を入れようと大開口にしていた名残
真ん中が大きな半円型の吹き抜けになっており、また通り抜けもできるようになっているので、この辺をよく知る人はショートカットにも使います。また、地下では直接地下鉄天神駅にもつながっています。
ちょっと入ると薄暗い印象もあるかとは思いますが、これは、天井からの自然の光だけだからだと思います。
私は、自然の日陰のようなかんじがして、この暗さは好きです。
あと、写真では分かりませんが、トラスと光の感じがかっこいい瞬間があります。
福岡県の国際交流事業に参加者として選んでもらい、BangkokSisterCityYouthProgramというのに2011年に参加させてもらったのですが、その関係の事務所もこの中にありました。普段一般の人はオフィス部分には入れないのですが、その頃は何度か入りました。写真がないのが残念ですが・・・通路からこの吹き抜けを見下ろせるところがちょいちょいあって、いいな、と思った覚えがあります。
さて、おそまつではありますが、オフィスタワー建築のレポートを終えたいと思います。
もし訪れる事があれば、ぜひ緑の階段をのぼってみてほしいというのが個人的なおすすめです。屋上からは福岡の中心部を一望する事ができますし、意外ときついですが、道中自然を感じる事ができます。(ステップガーデンは朝から夕方まで(時期によって違う)展望台は土日祝日のみみたいです。)
参考文献
MAT fukuoka 2009・2011
アクロス福岡 http://www.acros.or.jp/