オフィス建築――乃村工藝社②
今回主に乃村工藝社ビルの設計を中心に報告していきたいと思います。
企業沿革と主要サービス
乃村工藝社の提供主要サービスは、ショッピングモールなど商業施設、美術館、博物館等の展示施設、万国展覧会等のイベント展示の企画・デザイン・設計・制作施工を行うことです。
また、上記施設のイベントのノウハウを活かしコンサルティング、運営管理業務なども行っています。近年の公共施設運営の指定管理者制度の拡大に伴い、公営博物館の運営受託事業にも進出しています。
売上げ構成は
ディスプレイ事業の内訳は
設計コンセプト
大手のディスプレイ企業の自社ビルとして、企業内部の事務風景を外側にディスプレイしながら、社会へ発信することをビルの役割も果たしていると考えられます。ワークプレイスでは、これまで培われてきたワークスタイルを引き継ぎつつ、ワークーの交流と情報交換をより促進すべく、より連続した空間のあり方創造することを目指しています。
フロアの設計は旧本社の空間構成を参考しつつ、多岐にわたる活動を支えるさまざまな空間を立体的に連続させることで、新たな出会いを生み出すことを意図した。
60年代後半~70年代前半に清家清によって設計された設計された旧本社ビル
1F PLAN
エントランスホールは旧本社の構成を踏襲しつつ、ギャラリー状の風除室やカフェテリアを配置し、モックアップ作成用のスタジオを地下から、エントランスホールに吹き抜ける空間として配置することで、エントランス全体をコミュニケーションとディスプレイの場した。
エントランスホール
2層吹き抜けのエントランスホールから、地下の乃村スタジオで行われている活動を覗き込むことができます。
断面図
断面図から見ると、通常の事務空間に比べて、よりダイナミックな交流の空間を期待することができます。旧本社の棟の隙間にあった憩いの緑の空間を、芝生のルーフガーデンとして再構築し、高さ制限により、北東角を斜めにカットすることで、生まれたスロープで最上階と繋がっている。
2F PLAN
ワークプレイスでは、これまで培われてきたワークスタイルを引き継ぎつつ、ワークーの交流と情報交換をより促進すべく、より連続した空間のあり方を探求した。ワークスペースの中にコアを分散配置することで、中心部が個人作業スペースとして、中心と周縁を緩やかにゾーニングした不均質なワンルーム空間を創り出した。
ミーティングスペースは、階ごとに異なる家具を配し、床仕上げの色が上階から濃淡のクラデーションになっています。
コアの内部に鉛直荷重を受ける構造体を配置し、外周部を大きくヤジロベエ状にキャンチレバーでバランスラーメン構造とすることで、構造スパンと階高を抑えます。開放した非難階段によって全層を繋ぎ合わせることで、全体が階段の踊り場のような「スキップボイド」の空間を構築し、フロアを越えた人の流れと出会いを生み出しました。
2層吹き抜けの空間を階段でつなぎ合わせることで、自然な人の流れと出会いを生み出すことが意図されています。
ファサードから見ると、中で動く人々との活動とランダムなブレースが重なり合って、一つの風景を創り出しました。ブレースは、白、フレー、黒に塗り分けられています。内部の流動性を高めるために、外周部に配したプレースは、内部のコンテクストを考慮しながら、構造解析を繰り返し、複雑な配置を決定しました。このブレースが内部の多様なアクティビティと重なり合うことで、企業の活動が外部へとディスプレイされていくように計画しました。多様なアクティビティと建築が重なり合い、動的で複雑な全体性を作り出すことを意図しています。
ディテール設計としては、階段の設計を注目させてほしいです。
調査対象は自社ビルですので、一般見学はできないです。残念ながら、内部の考察ともっと詳細的なサーベイは難しいです。
以上、オフィス建築の考察はここまで終わりたいと思います。
次回は、宿題No.2「コンバージョン建築」の調査結果を発表していきます。
よろしくお願い致します。