コンバージョン建築調査 / 東京中央郵便局 JPタワー その3(完)
コンバージョン建築調査も第3回目
今回は、主にサーベイした時の空間体験について考察していきます。
サーベイに行った時は、東京駅で降りて周辺の建物も紹介です。
新丸ビル→丸ビル→JPタワーです。
これらのビルは、都市情報拠点の整備、機能の集積、地上地下の歩行者ネットワークの拡充、東京駅前地下広場の整備など都市再生の貢献を実現するために計画された建物です。
高層棟の部分は低層部から、かなりセットバックされているため視界が消されて低層部しか見えないようになっており低層部は、保存部分の柱梁と、ストライプミラー加工された新築部分の手摺ガラスの反射により、端正な空間性が支配しています。
JPタワー
図面の赤い部分が既存躯体部分です。
保存の復元的整備
東京駅前広場の歴史的景観を継承するため、広場に面する奥行き2スパン分の躯体を保存しています。さらに内部では、1階旧公衆室と4階旧局長室の内装材をできる限り保存し、当初の空間を復元的に整備しています。
新築部分は、ガラスウォールになっており非常に薄いファーサードになっています。白の躯体と対照的に構成していて、このように極端にすることにより旧中央郵便局を強調されています。
駅と反対側は、全く異なるファサードや空間となっています。
高層ビルに囲まれた空間なので、日中でもほとんで日陰になっているため、暑い時期は、良い休憩スポットとして存在していました。ベンチも1つながりの大きなベンチなので広々使えるのも、魅力的なポイントだと思います。
郵便局
郵便局部分は、既存躯体部分(白い建物)にあります。「前々回のブログ その1」に記載した窓ガラスの大きさが上にいくにつれて小さくなるというものですが、天井高も同様に上の階にいくにつれて低くなっています。特に1階は6m前後ありますが5階は4m前後になります。1階の天井高はかなり高いため、内部空間がとても広く感じます。商業施設の部分でも、この高さがあるためディスプレイとしもかなり表面積をとる事ができるので、店舗レイアウトも色々できると思いました。
アトリウム(三角広場)
保存部と新築部の間には、5層吹き抜けの三角形広場が設けられており、左手には白く塗装された既存建物の躯体があります。多目的広場は、様々なイベントが行われています。新築部の手摺は10mm幅のミラーがランダムに印刷されたガラスで、既存躯体が映り込むようになっています。これら保存部と新築部を対照的な存在ではありますが、映り込むなど調和を図っているように思えました。
6階には、屋上庭園「KITTEガーデン」があって一般に解放されていて東京駅丸の内宿舎や、鉄道の往来や景観が楽しめる格好やビュースポットとなっています。この場所には、観光客などたくさんの人が利用していました。しかし、デッキの部分しか歩いては行けないようで、緑の部分には立ち入り禁止と書いてありました。カフェやバーのオープンテラスもあり景色以外の楽しみ方もあるスポットとなっていました。
内装デザイン
商業教養部内装デザイン - 隈研吾建築設計都市設計事務所
KITTEの各階の内装は、商業MDに合わせて、和紙、サクラ、ナラ、瓦、ファブリック、金属左官など日本的で具象的な素材としたが、それらが旧建物のイメージとして線で微分し間接照明による光が多く使用されていて光と影がその抽象性をさらに高められています。
東京中央郵便局は、既存躯体の保存継承・高層棟・内装デザインなど、単なるコンバージョンや再開発という括りではない建物だと思いました。東京駅前という場所性・吉田鉄朗が当時では、最先端とも言える機能主義建築という歴史性等これらがをどのように解釈して再構築していくかがとても難しいモノだと思いますが、この建物は外観や内装、プログラムなど他の施設と比べても一線を画している場所だと思いました。しかし、1点だけ気になる部分があって、高層部分はつくらずに以前と同じようなボリュームだと今後に残っていく建築になると思います。ただ、容積率など場所を有効活用をしたいクライアントだと、高層棟は外せないポイントだったかもしれません。この高層棟の賃貸オフィスは、年間100億以上の利益を生み出す予想なのでやはりこの点では、ヨーロッパのような考えではなく資本主義が強いのだと感じました。
以上で、コンバージョン建築調査 / 東京中央郵便局 JPタワー
の考察は終わりたいと思います。
出発まであと3日!あとは、荷造りとパソコンの準備や